そうして迎えた予約当日
三万円が無駄にならないように、と
聞きたいことを前日の夜からノートに書きだすクソ真面目が
見事に発揮されていた。
決められた時間にこちらから電話をかけるシステム。
準備を整え、貧乏6畳一間の極寒空間にて
小さな机の前に10分前から正座をし、携帯電話を見つめる。
真面目か。
その10分の長かったこと。
散々怪しいとか言っておきながら
かなり真剣に取り組もうとしている自分が居た。
時間だ!
携帯番号を押す手がかすかに震える。
初恋の電話かよ。あ、昭和丸出し。
呼び出し音が鳴るかならないか
その瞬間に関西のおばちゃんが元気に電話口に登場した。
あ、あのぉ、、挨拶もままならぬまま
おばちゃんは迷いなく軽やかに言い放った。
「あーなた、彼と別れなさい!!!」
ぇえええええええええー!!!!!!!!
散々なことを言われた上に、用意していたフラのことについては
何一つ明確な答えは無く
彼と別れてあなたが幸せになればそちらも上手くいく、ですって。
あーさようなら三万円。
電話を切りながら、心の奥でそう呟いたね。